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機械学習で新しい超伝導物質を探索する

2019年06月28日

 

 

機械学習で新しい超伝導物質を探索する

-21世紀版マティアス則の構築-

 

本学大学院工学研究院の松本 要(まつもと かなめ)教授と堀出 朋哉(ほりで ともや)准教授は、最新の物質データベースと機械学習を用いて、任意の多元系物質の超伝導臨界温度Tcを予測する手法開発に世界ではじめて成功しました。

≪ポイント≫

機械学習を用いて、任意の3元系物質群のTc分布を網羅的に調べる手法を世界ではじめて開発

データセットに含まれていない鉄系超伝導体のTcも正確に予測

Tcが30 Kを超える、あたらしい多くの超伝導候補物質群を発見

 

今回の予測手法の開発にあたり、超伝導体のTcを理論的に予測することは現在でも大変難しい問題ですが、機械学習で既知のデータを学習することで、未知物質のTcを容易に予測することが可能となりました。例えば周期表から80種類程度の元素を3種類選択するとその組み合わせの数は約8万、さらにそれぞれの組み合わせに関して、異なる組成を数100個程度選ぶとその組み合わせの数は1000万のオーダーになります。しかし、今回開発した手法は任意の元素の組み合わせに対してTcを瞬時に予測することができるため、膨大な3元系物質探索空間を網羅的に調べTcの最大値を予測することを可能とします。

今後、学術的な観点から、これまで探索されていない元素の組み合わせ領域を調べることで、Tcの高い超伝導物質群を発見していくこと、さらには今回の手法を、他の機能性物質の探索にも応用展開していくことが期待されます。

この研究成果は、応用物理学会の学術誌「アプライド・フィジックス・エクスプレス(APEX)」において、2019年6月12日にオンライン版にて公開されています。

 

【研究内容に関するお問い合わせ先】

九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 教授 松本 要

TEL:093-884-3366 E-mail:matsu*post.matsc.kyutech.ac.jp (*を@に置き換えてお送りください)